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春の凡夫

【奔る川】

救急搬送で入院していた病院から1週間ぶりに帰宅しました。

ベランダからの風景、海までの屋根屋根の雪も川べりの雪も消え、いつもは見えない川面が見えています。

このところの気温上昇で山の雪解けが急激に進んでいるのでしょう、水量が増えて流れがとても速いです。

このまちにもようよう春の訪れです。

 

【コードブルー】

入院生活は、救急医・主治医はじめ皆様によくしていただき、快適に過ごせました。なかでひとつ忘れられないのは、「コードブルー」ということばでした。

これは自分の恥を晒すことになりますが記しておこうと思います。

入院していた病院はドクターヘリの基地病院でした。

救命救急センターで隣のベッドの方がドクターヘリで運ばれてきた方でした。

一般病棟に移ってからも、長く入院されている同室の方が「あ、ドクターヘリが来たよ」とヘリコブター音を聞きつけて教えてくれました。

体調が回復してきたある日、点滴を受けながら同室の方と談笑しているときにもそういうことがありました。そのすぐあとに、

「コードブルー4○○○」という病院内に響き渡る放送が流れました。

わたしは窓から見える青空を見ていてスカイブルーを連想し、「コードブルー」ってヘリコプターの名前?」なんてバカな質問をしてしまいました。

「コードブルー」ということばを知りませんでした。ほんとに無知もいいとこです。

あれは、

4○○○号室に緊急事態発生、全員駆けつけよ!

ということだったのですね。

院内が緊迫した状況にあったときに、まったく間抜けなことを言ったものです。

 

【横超】

ところで、今日は3月16日。

6年前のこの日、吉本隆明氏が亡くなっています。

この日を横超忌として、毎年、各地で吉本氏を偲んで講演や勉強会などが開かれていると聞きました。

北海道横超忌も今年は3月24日、札幌にて評論家の加藤典洋氏の講演があるそうです。

わたしも小樽の長屋のり子さんに誘っていただきましたが、当日は私的ながらも大事な集まりが函館であるので残念ながら出席できません。

この「横超(おうちょう)」ということばは、毎月の命日に来てくれるお坊さんがあげてくれる「正信偈」というお経の中にあります。わたしもお坊さんの後ろで開いている冊子に「即横超截五悪趣」という文字を見つけました。

はて、横超=横に超える、とはどういうことなのか、凡夫われにはわからず以前、東本願寺のHPをのぞいたことがことがあります。

 

http://www.higashihonganji.or.jp/sermon/shoshinge/shoshinge27.html

 

そこに平明に書かれていることに目をひらかれ胸うたれる想いでした。

【凡夫は凡夫のままで仏になる】

仏に成って一切の人びとを救いたいという菩薩は命がけの修道を積み重ねて仏の境地に近づいていく、また浄土に往生したい者は善行を積み重ねなければならないというのが通常の理解ですが、それを親鸞は目標に向かって竪(たて)に一段一段のぼりつめていく「竪超(じゅちょう)」と言います。「横超」はそれとは違って「一切の段階を飛び越えて、一挙に目的に達するという見方です。」

「先の『竪超』は、自分の力を頼りにしています。自分の力を信頼しています。しかし、自分の力が信頼できなくなれば、一体どうするのか、『いずれの行(ぎょう)もおよびがたき身』は、阿弥陀仏の願いという他力にお任せする以外に、なすすべはないのです。本願力にお任せするときに、『横超』ということが起こると教えておられるのです。」

これを読んだとき、はらはらと涙がこぼれました。

かなしいとか、うれしいと言う感情じゃなく、宗教というものの真髄にふれたのだと思います。

仏教でも、キリスト教でも、みずから幸せになれる力のある者・富む者ばかりではなく、むしろ力のない者・貧しき者をこそ救う大いなる慈悲(愛)があるのだと教えているのだと思いました。あらためて親鸞の偉大さを思い知りました。

後日、友人にあったときにそれを拙いことばでつたえようと語ってしまいました(笑)。

ひとつのことばにふさいだり、ひとつのことばに救われたり。

さ、元気を出して春に歩き出しますか。


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