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橋上の恋-映画『白夜』を観て

嵐が列島を吹き荒れてゆきました。

きょうは明るく晴れていますが、ときおりのなごり雪です。

きのう、頼んでいた『オール・マイ・ラヴィング』(岩瀬成子著-集英社)と

『白夜』(小林政広監督作)DVDが届きました。

みぞれ降るなか、佐川急便のおにいさんの手はかじかんでいたのでしょう、代引きのお釣りを出すときに硬貨をちゃりんと玄関に落としてしまいました。

わたしも探して、下駄箱の下から拾い上げてみたら500円玉でした。

代引き手数料315円より高額!

よかったです、寒いおもいして届けたうえに損をさせずにすんで。

 

忙しさは一段落したとはいえ、点訳書2冊5巻と校正4巻も抱えているのですが、

どちらも早く観たい読みたい!

本をぱらぱら捲って、これはDVDより時間がかかりそうなので、あとでゆっくり読むことにして、DVDをまず観ました。

 

『白夜』よかったです。

眞木大輔さんも、バックパッカーで外国を放浪して1年、明日帰国するという青年を好演していましたが、

男を追ってリヨンまでやってきた、赤い橋に立つ吉瀬美智子さんが、とてもよかったです。

巧さとかじゃなくて、その美しさ(それについては、長くなりそうなので後ほど、また)。

そして、なにより、橋の上の物語だってことが、魅力です。

 

橋。

明日やあなたに繋がる愛の道、であると同時に

地を離れ水を離れて空中に架ける、虚構の道。

希望と危険を併せ持つ、あやうい場所。

人は橋に立つ歓びと不安を抱かずにいられないと思います。

わたしは、幼いころ、函館山裏に続く穴澗の吊り橋が風に揺れるのを見るだけで震えたものです。

固定された頑丈な橋でも、みずから飛びこむんじゃないかと眩暈がします(笑)

 

そんな橋の上で出会った二人。

かもめが飛び交っているのが印象的でした。

吉瀬さんの美しい横顔、媚びとか女おんなしたところがなくて、中性的というか少年のよう。

二人の衣装が、出会ったときは共に黒いコートにブルージーンズ。似ている二人を象徴しています。

反発や喧嘩を経てだんだん親しくなっていく感じが、じつにうまいです。

もっと若い二人なら、あるいはもっと社交的な二人なら、もっと早く親しくなってたでしょう。

そういうところも二人の境遇や気質がわかるような脚本でした。

 

♪一晩のうちにすてきな恋をしてしまう

君はこの街でたったひとりの天使だ

 

いつも聴いている林ヒロシ「イタリアの天使」の歌詞が何度もよぎりました。

吉瀬さんは、ほんと天使というか白い鳥のようでした。

下着とワンピースがオフ・ホワイトだったのも、そういう意図があったでしょうか。

ワンピースはシンプルなデザインでしたが、スカート部のタックギャザーは風を孕んで・・

最期の橋上での白光した表情と眼の動きも鳥のようでした。

音楽もサン・サーンスの「白鳥」が使われていたり。

そうそう、会話の中でリヨンの空港名がサンテグジュペリというのも知りました。

大空に散った「星の王子様」の作家の翼。彼も鳥だったのかもしれません。

 

『白夜』というタイトル。

同名映画へのオマージュもあるでしょうが、けっして忘れられない人・忘却に沈まない一日という意味で、いいタイトルだと思いました。

二人で行こうとした白夜についての断崖の挿話も好きでした。

ひとりなら風に吹き飛ばされてしまうけれど、二人で抱き合っていれば大丈夫、あたたかいし、というところ。

だからこそ、いっそう、ひとりぼっちになった彼女の寂寥と錯乱が痛ましくて。

いろんなものが響きあって、余韻の残る映画でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

録音が『海炭市叙景』の吉田さんでした。

うれしくなって、特典映像を見たら映ってました!

函館ロケの一年前の姿。

これからも、活躍してくださいね。