朝の海

いまも、一昨日の「佐藤泰志の復活と映画『海炭市叙景』を語る」の余韻が続いています。

会場のサン・リフレ函館は、もとは旭中学校のあったところ。
大森浜に面した建物の窓からは海と空しか見えません。
(天気の良い日には海峡の向こうに青森・大間が望めます)
寄せては返る波の音の大きさに驚かされます。

この波の音で思い出される夜と朝があります。
会場の近くのホテル(現在は廃業して介護施設となっています)に宿泊したことがあります。
晩学で法律を学んでいたときの政治学の合宿でした。
丸山眞男やハンナ・アレントを語った夜、床についても波の音でいつまでも眠れませんでした。
丸山の言う“執拗低音”を波に重ねて思いました。
寝床にいるのに、浜辺にいるようでした。それでも、いつしか眠っていて……

目覚めたら、海側の窓の障子が朱色でした。驚いて跳ね起きました。
障子を開けたら暁の海! その美しさに圧倒されました。

佐藤泰志も、この朝の海を見ただろうと思います。
彼の長女は、「朝海」さんという名前です。

講演をされた福間さんが詩のワークショップで、行頭の文字を決めて詩作するということ聞き、
わたしも課題の「き・み・が・す・き・だ」というのをいくつも作りました。
そろそろ違うのをと思ったとき、「あ・り・が・と・う」のもかつてやりました、と聞いて、わたしも作りました。

 

朝の海は

利発な作文を書く少年の夢のように光輝く

学校跡の砂地に行って

とんぼろのまちで

うまれて生きて愛して闘って書いたひとに出会う

(あ・り・が・と・う)

 


撮影:海炭市叙景スタッフ