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「いのちをかけて」なんかほしくない、「いのちをたいせつに」してほしい!

雨。

晴れない。

空も心も。

寒くて暗い。

あのニュースを聞いてから、ずっと。

いくら考えてもどうにもならないのだと、自分に言い聞かせ、がんばって点字の作業に励む。

だけど、忘れることができない。

小さないのちが果てるまでの日々を想うと泣けてくる。

ひとりぼっちで、ひもじさに耐えて、何百もの昼と夜を、閉めきった暗い部屋で・・

抱いてくれる胸もなく・・

 

気を紛らわせようと、このまえは映画を観に行った。

『それでも夜は明ける』

もっと滅入った。

1800年代のアメリカ。

奴隷制度のあった時代、黒人というだけで拉致され虐げられ酷使され犯され尊厳を奪われ惨殺され。

人間は、かくも残虐になれるものなのか。

映画なのだ、演技なのだと知っていても目を背けたくなった。

 

人間愛とか父性愛とか母性愛ということを、ナイーブに信用しちゃいけないのかもしれない。

人類は東でも西でも、自分より弱いものを支配し、傷つけてきた生き物なのだ。

それを直視し、そうならないよう自らを戒め、ひとの痛み悲しみを想像できる者にならなければならないんだと思う。

(そんなの理想だよと、せせら嗤う人は、自分をも卑下しているんじゃないのか、できっこないって。勇気があるなら、現実を理想に近づけるようにするはずだ。)

なのに。

この国の首相は、「いのちをかけて」他国の戦いへ赴く若者を賛美し、集団的自衛権が必要なのだと強弁する。

自国内の、たったひとつの小さないのちさえ救えなかったのに。