夏の果てと高校生と「坊ちゃんの歌集」

八月も明日で終わり。
八月は二つの原爆忌・終戦記念日、高校野球、そして我が市では港祭りや花火大会など熱くて濃い時間が詰まっています。
夏の盛りと夏の終わり。
そんな夏も終わろうという昨日、早朝に北朝鮮から打ちあげられたミサイルが、渡島半島の上空(遙か上らしいですが)を飛んで襟裳岬から少し離れた太平洋上に落ちたそうで、驚かされました。
それでも、とくに落下物などによる被害はなかったようなので、ひとまず安心。
今朝は、臥牛の山、流れる雲、海の向こうの青い影が美しく、いつまでも眺めていました。こんなふうに風景を愛でられる平和がずっと続くことを祈るばかりです。

さて、わたしにとって八月はまた、高校生の文芸にふれる時でもあります。
高文連文芸コンクール道南支部大会の詩の審査を担当するようになって七度目の夏です。
今年も、7日の審査会、26日の大会に参加しました。
その間の17日には佐藤日和太さんの俳句が北海道新聞の「新 北のうた暦」欄で紹介されました。

少年の首太くなる夏の果て 

佐藤日和太

佐藤日和太さんは、市立函館高校の国語教師で文芸部の顧問です。
とても熱心に指導されていて、同高文芸部は短歌甲子園(2014)3位など全国での活躍もすばらしいものがあります。
この句は、わたしもとても印象に残っていて、以前このブログで佐藤日和太さんのことを書いた〈「ひなた」と「影二」〉でも挙げていました。

「ひなた」と「影二」
きょうはとてもいい天気でした。春日向。洗濯物もよく乾きました。水仙の黄色がまだ寂しい庭を照らして。月のはじめは雪も降ったのに、北の4月はすっかり冬を脱いだようです。日向といえば、先日、佐藤日和太さんから句集『ひなた』を戴きました。新書版サイズのかわいらしい造本です。カヴァー表紙画もやさしい色合い。(創風社出版 1200円+税)...

市立函館高校文芸部は、その部誌のクオリティーの高さにも驚かされます。
毎回、部員たちの作品はもちろん、郷土の文学者を取り上げ研究・発表しています。
その質・量ともの分厚さに、部員の高校生たちの熱意と筆力、それを指導される佐藤先生に脱帽です。
今回は、また更に驚かされました。
『海碧』第30輯は「特集 薄命の歌人 砂山影二」と、「版画家 佐藤国男の世界」と題した函館在住の版画家のインタビューなどなのですが、加えて

な、なんと、その砂山影二の幻の歌集の復刻版が付録としてついているのです!
たまげました。

歌集表紙裏の挨拶文です
今回、砂山影二の特集を組むにあたり、まず皆さんにどのような形で影二の短歌を読んでもらうかを考えました。「海碧」本誌に抄録として掲載することも考えましたが、やはり影二唯一の歌集である『坊っちゃんの歌集』をできれば、その当時に近い形で読んでいただくのが一番良いのではないかとの結論に至りました。(中略)現在、手にすることがほぼ不可能な歌集であり、広く「砂山影二」を知ってもらうためには有効な資料となると思います。影二が『銀の壺』や『海峡』をコツコツと手作業で作っていたように、すべて市立函館高等学校文芸部の手作りです。本校の学校祭「柳星祭」限定での別冊特別付録としました。『海碧』本誌の特集と併せてご一読ください。

市立函館高等学校文芸部

すごいですね。感謝です。
以前、砂山影二の研究者である佐藤先生に「はこだてルネサンスの会」で影二について講演をしていただいたときに、ダイジェスト版の資料は貰っていましたが、まさか「坊っちゃんの歌集」完全復刻版をいただけるとは!
非売品なので、ご紹介するのはちょっと申し訳ない気もするのですが、でもこんなすばらしいことを伝えないわけにはいきません。
この夏の終わりに、函館人でもあまり知らないだろう薄命の歌人について、高校生たちが学び発信していることを記しておきます。

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